(これは2010年1月7日に投稿した記事を加筆修正したものです)
新宿のBar fermata
『フェルマータ』という私のお店の名前は、1997年に大学を卒業し初めて働いた会社「ドリームフード総合研究所」が経営していたバーの名前です。
「研究所」とはまた仰々しい名前ですが、飲食店をチェーン展開していた会社です。本社は札幌市でしたが、東京など合わせて28店舗の直営店がありました。
その中の「バー フェルマータ」は、東京オペラシティ53階にあったお店で、音楽の施設に入るバーですから店名も音楽用語にしたそうです。今はもう閉店してしまいしました。
ドキドキ・コースター
2009年10月、私が独立してお店を開くことを決め、真っ先に「ワインバー フェルマータ」を店名にしたいと考えました。
でも、その名前に決める前に、在籍当時の社長・菊地日出男氏にお許しを請わなければ、と思いました。彼は私が最も尊敬している人のひとりで、恩人と言っていいと思います。
そして12月のある日、菊地社長あてに私の思いを手紙にしました。
私は当時、店長を歴任していたとはいえ、150人の社員のうちの1人でしかありませんから、社長が私のことなど覚えているのか正直いって不安でした。
返事の手紙は来るのか。来ないのか。
***
1週間ほど過ぎました。
「やっぱりダメだったんだろうか」「菊地社長の体調が悪いのだろうか」...などと不安な思いをめぐらせていたある日、このコースターとともに、菊地社長からの手紙が送られてきたのです。
その手紙は、涙なしには読めませんでした。嬉しくて嬉しくて。
どうぞ「フェルマータ」を店名に使ってください、という旨と励ましのお言葉。
そして「いつでも電話して」と書いてありました。
店名とロゴマークを、ほとんどそのまま使わせていただくことにしました。
ロゴマークは、私が大好きな洋画家で、菊地社長の旧友である
小野州一先生(平成12年に他界)の手によるものです。
フェルマータ 第1楽章。
ここから、ワインバー【フェルマータ】の物語が始まります。
長編になるのか、はたまた短編小説か・・・
どうぞお楽しみに。